建築をデザインする際に理想的な条件が揃っている事は殆ど無く、現在の 短所を長所に変える という課題を設定します。
川口の白い家のデザインを振り返り、敷地を初めて訪れた時の事を思い出しました。
区画整理されたばかりで地形は良好で、特に悪条件というわけではありません。
特徴としては隣に御稲荷さんと駐車場、裏手は販売用の植木。緑豊かな地域で敷地が少々高台になっており擁壁が積まれているので、地盤さえしっかりしていれば条件的には安心です。まぁ、結果的にはギリギリ地盤改良程度は必要だったのですが。
ある程度なんでも出来ると思っていたところ、一点だけ微妙に悩ましかったのは下の写真にある隣地側のブロック塀です。
道路側の壁はブロック塀にベージュの左官材で仕上げられ、意味のないスリットが3本。その奥の並びにコンクリートブロック素地の上に白いフェンス。どうやら土地を販売しやすいように、お稲荷さんを隠すブロック塀と落下防止用のフェンスをローコストで新設したようです。
何て事なさそうなのですが、建築がないのに塀だけ微妙にデザインされているのが厄介!
“川口のベージュ色の家” にする可能性は低いし、塀の存在を無視して配棟してしまうと無意味に立っている塀が完成します(笑)
撤去するわけにもいかず造り直すと予算オーバーなので、今ある条件を素直に受け入れ、全てに統一感を持たせる設計をしました。
どうでしょう。
既存の塀には補修と塗装だけしか行っていませんが、建築に合わせて新設したように見えませんか。