坪単価 で建築工事費を考える場合の注意点

坪単価 で建築工事費を考える場合の注意点

坪単価 という言葉は、家の新築を検討した人なら一度は聞いたことがあると思います。

1坪あたりの工事単価の事で、建物本体の工事金額を床面積で割った金額です。当然、設計監理費や解体費等は含みません。

本来は実際に掛かった工事金額を床面積で割ることにより導き出される金額ですが、新築する際に予算内でどの程度の広さの家が建つか、希望の広さを確保するにはどのくらいの予算が掛かるかなど、大まかな検討にも使われます。

プロ同士でこの話をする場合はそれほど問題ないのですが、一般のお施主様は少々注意が必要です。

よくハウスメーカー等で “坪◯◯万~” という謳い文句がありますが、その算出方法もメーカーによりバラバラです。

設計の相談をいただく際、「ハウスメーカーの◯◯では坪◯◯万でやってくれるのですが御社ではどうでしょうか?」という質問をいただくことがありますが、商品として規格化されている建築と違い、フルオーダーで造る建築を坪単価で比較するのは難しいものです。

建築の大きさを検討する際におおよその想定はしますが、施主の要望を聞いたうえで、構造、工法、間取りや仕上げ等を検討しながら理想の建築に近づけ、予算内に収まるよう検討したその結果が坪単価という感じです。

その流れの中で理想だと思っていた部屋数や面積が変わることも珍しくなく、長いやり取りの中では生活や建築に対する価値観すら変わってくることも珍しくありません。

また、坪単価の考え方自体も世の中で統一されておらず、ハウスメーカーのような商品化された建築でも慎重に検討されることをお勧めします。

細かいことを説明しだすとキリがないので、住宅における初歩的な注意点を2つ。

 

■坪単価に含める工事範囲

消費税を除いた建物本体のみの金額が基本で、外構など建物本体と直接関係ない工事は坪単価からは除きます。

また土地の特性に左右される地盤改良や杭工事なども、分けて検討した方が良いでしょう。水道管の引き込み工事(サイズアップ等)や、浄化槽を設置する場合も多少考慮が必要です。(地域によっては補助金出る場合もあります。)

 

■算出時の床面積は施工床面積か法定延べ床面積か

これも考え方が色々ありますが、基本的には施工床面積で検討したほうが良いと思います。施工床面積とはバルコニー(奥行き2m以内)や玄関ポーチなど、法定延べ床面積(法に基づく床面積の合計)に算入しないものも含めた実際に施工される床面積です。

建物の面積を考える際、内部の面積ばかりを考えがちですが、外部につきましても内部同様に施工される範囲は含めたほうが坪単価の誤差は少ないと思います。(その場合は多少割安になると思います)

既成品のバルコニー等はその商品と設置コストをプラスすれば良いでしょう。

また面積の種類も注意が必要で、過去のお施主様のなかには建築面積(建物の水平投影面積)に坪単価を乗じて工事金額を想定していた方もいらっしゃいました。平屋で計画する場合は問題ないのですが、2階建て3階建てとなると全く面積が変わってしまいます。

※ハウスメーカー等は独自の算出方法がありますのでそれに従って下さい。

 

坪単価や床面積を想定する事は住まいを検討する上で必要ですが、それ以上に夢や希望も持ってご相談下さい。数字で越えられない壁は創意工夫によって超えることも可能です。